とうもろこしは、日本では甘味種のスイートコーンを未熟な時期に収穫して食べる野菜という印象が強く、それ以外の品種群の完熟した種子は飼料用、工業原料といった感覚で受け止められることが多いようです。しかし、原産地の中南米のみならず、とうもろこしが導入された旧世界の多くの地域において、成熟したものを収穫して利用する穀物としての地位こそが、重要なものです。また、他の多くの穀物と同様に、成熟した種子は乾燥させて長期間保存することが出来ます。
とうもろこしの栽培化が行われた中米では、とうもろこしは古来重要な主食作物でした。乾燥した種子は石灰を加えた水で煮てアルカリ処理してからすり潰し、マサという一種のパン生地に加工して、各種の調理に用いられました。代表的なものが、薄く延ばして焼いたメキシコのトルティーヤです。南米のアンデス地域では、アルカリ処理せずに粒のまま煮て食べることが多いですが、この地域での主食作物はジャガイモなどの各種芋類がより重要で、とうもろこしは先述したような煮て食べる以外に発芽させたものを煮て糖化させ、さらに発酵させてチチャという酒にすることが多いようです。
とうもろこしが古くから小麦、雑穀などを製粉して利用してきたヨーロッパやアジア、アフリカなどに導入されると、やはり製粉して調理されるようになりました。米国のコーンブレッドのように水でこねて焼くもの、イタリアのポレンタや東欧のママリガ、東アフリカのウガリなどのように煮立った湯の中に入れて煮ながらこねあげ、粥状にするもの、中国のウォートウ(窩頭)のように蒸しパン状にするものなどがあります。現代の日本ではこうした穀物としての利用はあまりなじみはありませんが、高度経済成長以前には、米の収穫量の少ない寒冷地や山間地では、硬粒種のとうもろこしの完熟粒を粒のまま、あるいは粗挽きにしたものを煮て粥にしたり、石臼で製粉して利用していた地域も少なくはありませんでした。現代では各種製菓会社の販売するスナック菓子には生地にとうもろこし粉を用いているものがいくつもあります。
未熟な穂は、焼いたり茹でたりすることで野菜として利用されます。こうした用途には甘味種のスイートコーンが供給されることが多いです。非常に新鮮な場合は稀に生食することがあります。収穫時の新鮮な味わいは、収穫後数時間しかもたないともいわれます。NHKで2005年に放送された「ためしてガッテン」によれば、水の状態でとうもろこしを入れて加熱し沸騰後3分から5分茹でるのがもっともおいしいゆで方とされています。
野菜として少々特殊なものにベビーコーンがある。これは雌花の穂を茹でたもので、サラダや煮込み料理などに用いられます。
そのほか、食材としての利用は多岐にわたり、コーンスープ(西洋料理のコーンポタージュ・中華料理の玉米羹・粟米羹)、バターコーン、ポップコーン、 コーンフレークなどにします。またコーンパフとしてスナック菓子の原料としても多く用いられています。韓国では コーン茶(オクススチャ)にします。
とうもろこしの種実には体内で必要とする必須アミノ酸のひとつトリプトファンが少ないので、古来よりとうもろこしを主食とする地域の南アメリカ、米国南部、ヨーロッパの山間地、アフリカの一部などでは、トリプトファンから体内で合成されるビタミンB群のひとつ、ナイアシンの欠乏症ペラグラ(俗に言うイタリア癩病)が蔓延し、現在でもこれが続いている地域があります。 |